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栄養素によって突然変異の発生を抑制できるか? このプロジェクトで得られる成果の細胞生物学的な内容は防御機能の向上です。被ばくによってできたものと同じ量の突然変異を減らそうとしています。 現在の被ばくはそのつど防御します。過去の被ばくに対しては、すでに説明したように、これらかの日常生活で発生する突然変異の発生ペースをおそくすることで可能になります。突然変異の防御は共通ですから、このプロジェクトによって、同時に行うことができます。
突然変異は、変異原と防御機能のバランスで発生します。完全には抑えることはできませんが、このバランスによって突然変異の発生が大きく違ってきます。 全身の細胞での突然変異の発生を低下させるためには、変異原の減少、防御機能の増加が必要になります。
しかし、全身の変異原を減らすというのは、全生活の変異原を減らすということになり、現実的ではありません。 遺伝子の防御機能は、遺伝子に傷ができないようにする抗酸化的防御機能と(変異原の)解毒機能、そしてできた傷が突然変異にならないようにするDNA修復機能、さらに修復が追いつかないときに細胞ごと始末する細胞周期コントロール機能などによって構成されます。 これらの機能をアップするために何が必要なのでしょうか。 機能アップに必要なもの これらの機能をアップするには二つの方法があります。「量を増やす」「活性(物質や酵素の働き方、能力)をアップする」の二通りです。 量を増やすのは誰でも考えることで、サプリや健康食品が売れる理由です。 一つ二つのサプリで抗酸化的防御のいったいどれだけをカバーできるでしょうか。 ところで、それらの部品歯車は、どこからきますか? 生物は植物と動物です。これらの「本質的な」違いは、何でしょう。 それは、栄養摂取の仕方です。それだけです。動物は自分で動いて栄養素を取りに行くだけです。 生物の概念からすれば、動物も植物も同じです。どのように栄養を摂取するかで分けられているに過ぎません。 植物と動物が同じというのは納得できませんか?植物は生きているだけ?では動物は生きているだけではないのですか? 人間以外の動物は一生何をしているか。食べるものを探して一生終えます。それだけです。楽しくないです。が、それが本質ですから。 栄養摂取がすべてです。運動も大切ですが本質的ではありません。動物もいっさい動かなくても生命維持はできます。 もうお分かりですね。 あまりに身近な結論で面白くないかもしれませんが、生物学の真実です。そしてこれはあまりにも当然です。 そこで、防御機能をアップするには、食事が大切、食物からの栄養素の摂取が重要ということになりますが、では、今以上、普通以上にアップできるものでしょうか? 体の機能はすべてバランスです。そして、そのバランスを維持するための完璧な仕組みが備わっています。 生物学的な利用可能量には幅があります。その幅の中で機能します。 | ||
ここで、防御機能をアップすると言いましたが、DNA防御機能であれ免疫機能であれ、私たちは遺伝子レベルで備わる機能以上のものは期待できません。それをどれだけ発揮できるかの問題であり、防御機能のアップというのは、できるだけ本来の能力を発揮させるという意味です。 後のページで述べるように、理想的な健康集団であるパイロットの人々でさえ、まだ遺伝子防御の機能がアップする余地があるのです。この事実は、私たち一般人では、アップどころか、理想どころか、もう少し何とかしたほうがいいというレベルにあることを意味します。そして、まさにこの事実が被ばくリスクを消去するための大きな余地を生んでいるのです。 「突然変異の発生を抑制」と期待値が高まる一方で、食事でというとありがたみが薄れますか?しかし、こうしてひとつひとつ生物のしくみを分析すると、この結論にたどり着きます。 | ||
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