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突然変異の発生のしくみ
突然変異は非常に簡単なしくみで発生します。 いろいろな原因で、遺伝子に傷ができます。 修理に失敗すると、たいていは細胞が死にますので問題にはなりませんが、ごくたまに「遺伝子の一部がまちがったまま」生き続けることがあります(まちがっていてもその細胞が生きることに支障がない場合)。 このまちがった部分が突然変異です。 細胞では常に遺伝子の監視をおこなっていて、”形の異常”を発見して修復しています。傷部分は飛び出ていたり切れていたりしますので、その異常部分を発見して部品の取り替え修理するのですが、その際、”形は同じで内容が別”の部品で取り替えてしまうと、その後はもう異常としては発見されません。そのまま遺伝子の一部として受け継がれて行きます。
まちがった遺伝子(突然変異遺伝子)からできるたんぱく質はまちがった仕事、異常な仕事をするため、いろいろな問題を引き起こす可能性があります。 それが体細胞のがん関連遺伝子に起こった場合には、がんに一歩近づきます。それが生殖細胞の遺伝病関連遺伝子に起こった場合には、子孫に遺伝病の可能性が発生します。
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防御のしくみ | ||
遺伝子(DNA)に突然変異ができるのは、遺伝子にできた傷を正しく修復できなかった場合ですが、 1)傷を防ぐ機能(抗酸化系、解毒系) に分けることができます。 現実の細胞では、下図のような攻防が繰り広げられた結果として、まれに突然変異ができてしまうのです。
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防御力アップの可能性 | ||
突然変異ができるペースを遅くするには、変異原と防御機能のたたかいで、防御が勝つチャンスが多くなればいいのです。 (DNAに傷を作るもの) 活性酸素はよく知られている変異原で、細胞内できるものもあれば、外から入ってくるものもあります。その他に日常生活からの無数の変異原が私たちの体のいろいろな部分の細胞のDNAに傷を与えます。放射線はその一つです。 (DNAに傷を作らせないもの) 抗酸化物質が有名ですが、その他多くの解毒酵素があります。 細胞の第一の防御機能です。 傷を修復する能力
私たちは遺伝子に傷ができるということじたい大変なことのように思いがちですが、実は私たちの体の細胞では1日当たり5-50万個もの傷が発生しているとされています。上で述べた第一の防御があってもなお、このような膨大な数の傷ができてしまうのです。
つまり、傷を減らすのは必要ですし大切ですが、それにも増して、できた傷を修復して突然変異にしないことが重要なのです。傷ができることはそれほど大きな問題ではありません。 DNA修復酵素が働いて、傷を修理します。これで何も無かったのと同じです。また、傷があまりにも多い場合や、あまりにも複雑な場合には、制御機能によって細胞を自殺をさせて傷ごと消してしまいます。この場合も何も無かったのと同じです。これが第二の防御機能です。 私たちの細胞ではこの途方もない数の傷を、毎日ほぼ完璧に処置してしまいます。しかし、100%完璧ではありませんので、まれに突然変異ができてしまいます。 「変異原の攻撃」とそれに対する「2段階の防御」の力のバランスで、突然変異ができたりできなかったりしているのです。 もし、防御能力をアップできれば、突然変異は少なくなるはずです。
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